午後十時四十四分に永田家に十三人の山賊が襲来した。 お実と虎男以外の住人たちは寝ていたところを叩き起こされ、全員が居間に集められた。当主の永田巌夫妻。その息子の虎男夫妻。虎男の子供たちは四人。枝美の下はすべて男の子だ。そして、お実を含めた使用人が三人………
午後十時四十四分に永田家に十三人の山賊が襲来した。
お実と虎男以外の住人たちは寝ていたところを叩き起こされ、全員が居間に集められた。
当主の永田巌夫妻。
その息子の虎男夫妻。
虎男の子供たちは四人。
枝美の下はすべて男の子だ。
そして、お実を含めた使用人が三人……。
その十二人を十三人の山賊たちが取り囲んでいた。
炭坑夫然とした格好の山賊たちは畳に座るなり、壁に寄りかかるなりしてくつろいでいる。
各人相当疲労がたまっているようたが、みな一様に鋭い眼光をたたえていた。
集められた住人たちは両手両脚を縛られ、猿轡を噛まされている。
罰が悪いのはお実と虎男だが、この状況下で、なぜふたりが外にいたのかを詮索する者はいないだろう。